変速機の操作方法(クロスバイク・マウンテンバイク編)

2025年5月9日by 西村大助

クロスバイクやマウンテンバイクに乗り始めたばかりの方にとって、「変速機の使い方」は最初に直面する大きな壁です。正しい使い方を知らないと、すぐに疲れてしまったり、大切なパーツを傷めたりする原因になります。

「坂道でペダルが急に重くなって止まりそうになった」「数キロ走っただけで足がパンパン!」――こんな経験、ありませんか? でも安心してください。変速機を正しく使えば、これらの問題は簡単に解消できます!

この記事では、初心者にもわかりやすく、バイクを壊さず・疲れず・もっと楽しく走るための変速テクニックを徹底解説していきます🚴♀️

「ギア比」や「変速の仕組み」について詳しく知りたい方は、こちらの記事もチェックしてみてください!
👉 今さら聞けない!? 意外と知らない? 変速の基礎知識と上手なギア比の選び方

1. 変速機は体力を無理に消耗させないためのサポート

変速機とは、ペダルの重さ(ギア比)を状況に応じて最適に調整するための仕組みです。
坂道、向かい風、信号待ち──スポーツバイクは、これら環境の変化に合わせてギアを使い分けることで、本来のパフォーマンスを引き出すことができます。

たとえば、重いギアのまま無理に踏み続けると、筋肉への負担が大きくなり、乳酸がたまりやすくなります。
軽すぎるギアで無理に高回転を続けると、呼吸が荒くなり心拍数が上がり、結果的に体力を消耗してしまうことがあります。(※適切な範囲のケイデンスなら問題ありません)

だからこそ、その場の状況に応じて適切なギアを選ぶことがとても重要なのです。
変速機は、単なるスピードのための道具ではありません。
体力を守り、長く快適に走るための最強のサポート役なのです!💪

2. 壊れない&疲れにくい変速のルール

✅ ペダルを軽く回しながら変速する

ペダルを軽く回しながら変速するイメージ
変速時には、足を軽く回し続けることが大事。ペダルを止めたり、強く踏み込んだりしてはいけません。

なぜ?
チェーンが次のギアへ「飛び移る」際、強いテンションがかかっているとスムーズに動けず、チェーン・ギア・ディレイラーに大きなストレスがかかるからです。

  • チェーンがギアに噛み合わずスリップする
  • ギアやチェーンの早期摩耗・破損
  • 最悪、チェーン切れやディレイラー故障
  • 特にフロントを重くする時は要注意

軽く回しながら変速──これがバイクを長持ちさせる鉄則!

⚠️ 一度に何段も飛ばして変えない

焦って3段、4段といっきに変速すると、チェーンに異常なテンションがかかり、トラブルを招きます。

  • チェーン落ち
  • ギア飛び
  • 変速不良

焦らず、1段ずつ確実に変速しましょう。

⚠️ ペダルを無闇に後ろ回しにしない

ドライブトレインはチェーンの逆回転に素直に対応できる構造にはなってません。逆回転をさせると前後ギアの組み合わせや逆回転させる速度によっては、

  • チェーンが外れやすい
  • 最悪チェーン噛み込みが発生
  • その場ですぐに直せない場合も

極力後ろ回しにこぐことは避けましょう!

🈲 チェーンラインを無理に斜めにしない

チェーンラインの悪い例:アウター×ロー、インナー×トップの斜めがけ
アウター×ローは異音やトラブル発生のもと。
以下のようなフロントとリアの極端なギア組み合わせは絶対NG。
  • フロント大ギア X リア大ギア(=アウター x ロー)
  • フロント小ギア X リア小ギア(=インナー x トップ)

無理なチェーン角度は、

  • チェーンとギアの摩耗加速
  • 異音発生
  • 変速ミス誘発

自然なチェーンラインを意識してギアを選びましょう!

🈲 左右両方のシフターを同時に操作しない!

左右のシフターを同時に操作してはいけない例
走行中に左手と右手のシフターを同時に動かすのは絶対にやめましょう。

なぜ?
前後のギアが同時に動くことでチェーンに異常な力がかかり、

  • チェーン落ち
  • 変速トラブル
  • ディレイラー破損

一方ずつ、落ち着いて変速操作を完了させてから次へ移りましょう。🛡️

🈲 親指と人差し指のレバーを同時に操作しない!

一つのシフター内でも、親指レバーと人差し指レバーを同時に操作するのは厳禁です。

なぜ?
変速機は「一方向ずつ」チェーンを動かす設計。 同時操作すると、

  • シフター内部破損
  • 変速トラブル

を引き起こす原因になります。

操作は必ず一度に一方向ずつ!冷静に、安全に操作しましょう。

3. シフターの操作方法とインジケーターの見方

スポーツバイクにおいて、変速の操作を担うのが「シフター(変速レバー)」です。左右の手元にあるこのレバーを使って、前と後ろのギアを切り替えます。
ここでは、シフターの基本操作と、表示される「インジケーター(数字のギア表示)」の見方をわかりやすく解説していきます。

変速レバーの操作イメージ
手元の変速レバー(シフター)の使い方と、ギア表示(インジケーター)の見方を詳しく解説します!

右手レバー(リアディレイラー操作)

右手側のシフターは、「後ろのギア(スプロケット)」を切り替えます。
リアの変速は細かい調整ができ、走行中に最も頻繁に使う操作です。
ペダリングのリズムを崩さないためにも、リアの変速操作はライド中の“日常動作”として身につけておきたいところです。

親指で押すレバー:
→ 大きいギア(内側)へ。ペダルが軽くなり上り坂向き。

人差し指で引くレバー:
→ 小さいギア(外側)へ。ペダルが重くなり平地高速向き。

左手レバー(フロントディレイラー操作)

左手側のシフターは、「前のギア(チェーンリング)」を切り替えるために使います。
フロントの変速は変化幅が大きく、ギアの重さを一気に変えることができます。

親指で押すレバー:
→ 大きいギア(アウター)へ。ペダルが重くなりスピード向き。チェーンが完全に移動するまでレバーをしっかり押し込み続けることが大事。

人差し指で引くレバー:
→ 小さいギア(インナー)へ。ペダルが軽くなり坂道向き。

シフターのインジケーターの見方

変速機によっては、ハンドル付近にインジケーター(数字表示)があります。

  • 数字が小さい:軽いギア(登り坂・発進向き)
  • 数字が大きい:重いギア(平地・スピード向き)

小さい数字=軽い、大きい数字=重い、と覚えましょう!

具体例:クロスバイクの場合

例:「フロント2枚 × リア9枚」の場合──

  • フロント小ギア+リア大ギア(1〜3番)→坂道に最適!
  • フロント大ギア+リア小ギア(7〜9番)→平地高速巡行に最適!

フロントで大きく、リアで細かく調整する感覚を身につけましょう!🚴♂️

4. ペダリングリズムを保つ変速のコツ

スポーツバイクでは、一定のリズムでペダルを回し続けること(=ケイデンスの維持)がとても重要です。

なぜペダリングリズムを一定にする?

ケイデンス(ペダル回転数)が一定だと、

  • 筋肉への負担が分散される
  • 呼吸が安定し、有酸素運動が持続しやすい
  • 疲労物質(乳酸)がたまりにくくなる
  • 長時間・長距離を走ってもバテにくくなる

逆にリズムが乱れると無駄に体力を消耗し、筋肉や関節への負担も増えてしまいます。

目指すべきケイデンスは?

初心者なら1分間に70〜90回転が目安。 軽めのギアで「クルクル回す」感覚を意識しましょう!

リズムが崩れたらすぐ変速!

ペダルが重くなったら、ためらわずにギアを軽くしましょう。
重く感じたら即変速! これがリズムを守る最大のコツです!🎶

5. 実際の車両操作イメージ

ここでは、実際のライド中に「どんな場面で」「どのように」変速すればよいのかを、走行シーン別に詳しく解説していきます。変速のタイミングをつかむことで、トラブルや疲労を防ぎ、より快適なライドが実現します。

信号待ちからのスタート🚦

信号待ちや交差点で一時停止する際は、必ず停止する前にリアのギアを2~3段軽くしておくのが基本です。発進時に軽いギアに入っていれば、少ない力でスムーズに漕ぎ出すことができ、バランスを崩しにくくなります。特に初心者や街中でのストップ&ゴーが多い環境では、この操作がとても重要です。

逆に、重いギアのままスタートしようとするとペダルが重く、ふらついて立ちゴケする可能性もあるので注意しましょう。
なお、このときの変速操作は右手(リア変速)で行います。リアのギアは変化が細かく、ライド中に最も頻繁に使う変速機構です。

坂道へのアプローチ🏔️

坂道に差しかかる前には、あらかじめリアのギアを軽くしておく必要があります。坂に入ってからではすでにペダルに強い負荷がかかっているため、変速がスムーズにできず、チェーンや変速機に無理な力がかかることになります。

「坂の手前=変速ポイント」と覚えて、早めの対応を心がけましょう。場合によっては、左手のフロント変速も併用して、ギア比全体を軽くすることも有効です。

坂の途中で変速したくなったら?

もし坂の途中で「思ったより勾配がきつい!」と感じた場合、できるだけ早い段階で変速しましょう。ペダルが重くなる前、あるいはギリギリ軽く回せる状態で変速すれば、メカに優しく操作できます。

このとき「力を抜いてペダルを軽く回しながら変速」することがとても大切です。強く踏み込んだままでは、変速不良やチェーンのトラブルを招きます。リア変速で細かく、フロント変速で大胆に調整する意識を持ちましょう。

下り坂での変速🚴♂️

下り坂ではスピードが自然に出るため、ペダルを漕がなくても進めてしまいますが、それでもある程度重めのギアにしておくことがポイントです。軽いギアのままだと、ペダルが空回りしてしまい、いざというときにペダルで速度調整ができなくなります。

適度に重いギアで、いつでも脚でアシストできるようにしておくことで、安全性とコントロール性が高まります。フロントがアウター、リアは中間〜外寄りの位置を意識しておくとよいでしょう。

向かい風のとき🌬️

向かい風に対しては、軽いギアで高回転(ケイデンス)を維持するのが鉄則です。風の抵抗でスピードが落ちたとき、無理に重いギアを踏み込むと脚に過度な負担がかかり、すぐにバテてしまいます。

6. よくある失敗パターンと回避法

初心者がやりがちな変速ミスと、その回避方法を紹介します。
「なぜ失敗するのか?」を理解しておけば、トラブルを防げます!

失敗例1:坂道で変速が遅れた

原因: 坂に差しかかって重たいな...と感じてから変速しようとすると、ペダル負荷が高くチェーンの張りに変速パワーが負けてガリガリガリガリしてなかなか変速できない。または重くてペダルを踏めず停車するしかなくなる。

回避法:
坂に入る「手前」で、勾配がこの先さらにキツくなりそうだなと感じた段階ですぐに軽いギアにしておこう!

失敗例2:発進時にギアが重すぎてよろけた

原因: 信号待ち手前でギアを軽くするのを忘れて発進してしまう。

回避法:
止まる前に軽いギアに戻しておこう!リアディレイラーを2、3段軽くする程度でだいぶ発進しやすくなる!

失敗例3:変速してもギアが変わらない

原因: ペダルを止めたまま変速操作だけしている。もし、ペダルを回しているのに変速しない場合は、ケーブルのテンションなどの調整が狂ってしまっている可能性もあり。

回避法:
ペダルを軽く回しながら、シフターをきっちり丁寧に操作して変速しよう!それでもギアが変わりにくい場合はお店で点検調整が必要かも。

失敗例4:ガチャガチャ異音がする・勝手に変速する

原因: チェーンラインが極端に斜めになっている。場合によって、斜め掛けでなくてもこの症状が出ることもあり。

回避法:
チェーンに無理のない自然なギアの組み合わせを意識しよう! 斜め掛けで漕いでいない場合、ケーブルに初期縮み(馴染み)が出ている可能性大。最寄りの店舗で点検をしてもらおう。

7. 今日から始められる練習法

変速は「知識」だけではなく「体で覚える」もの!
すぐにできる練習メニューを紹介します。

ステップ1:平地でリア変速だけ練習

右手だけでリア変速を操作し、細かなギアチェンジに慣れましょう。ペダリングのリズムをなるべく維持するように。

ステップ2:フロント変速を加えてみる

次は左手を使い、フロントのギアも切り替えてみましょう。フロント変速でどのくらい劇的に軽くなったり重くなったりするのか、あらかじめ体感しておくことで使い所が明確になります。

ステップ3:シチュエーション別練習

  • 信号待ち手前で必ずリアを2、3段軽くしておく
  • 坂道の手前でギアを軽くする
  • 下り坂では足を軽く回しながらギアを重くしておく
  • 向かい風では軽いギアで高回転

これを意識的に繰り返すことで、変速が自然と身体に染みつきます!

8. 変速に違和感を感じたときは

⚙️ 調整ボルトには触らないで!

Shimano ULTEGRAリアディレイラーの調整ネジ部分のクローズアップ
リアディレイラーの調整ネジ(H・L・Bテンション)は精密な変速調整の要。誤って触れないよう注意。もちろんフロントも。

変速の調子が悪いと感じても、振り幅調整ボルトやBテンションボルトにはむやみに手を出さないようにしましょう。
一見するとネジが中途半端に緩んでいるように見えても、それは非常に繊細な調整結果として“あえてその位置”にセットされていることがほとんどです。
ネジが奥まで締まっていないからといって、自己判断で締め込んでしまうと、かえって変速性能を悪化させたり、部品を破損してしまう恐れもあります。
自己判断で触らず、必ずショップへご相談ください。

🔧 「初期伸び(馴染み)」について

バイクプラスでは、初期伸びが出にくいよう注意深く整備を行っていますが、
一般的にスポーツバイクでは、乗り始めてしばらくすると変速の反応にズレが生じることがあります。

いわゆる「初期伸び(馴染み)」と呼ばれる現象ですが、実際にはインナーケーブル自体が伸びるわけではありません。
アウターケーブルやアウターキャップが、使用によりわずかに沈み込み、インナーケーブルにたるみが生じることで起きるものです。

このため「初期伸び」と表現されることが多いものの、厳密には「初期縮み」に近い現象といえます。

変速の違和感を感じた際は、早めの点検をおすすめします。
ご購入後1〜3ヶ月、または走行距離200〜300km前後が、点検のひとつの目安となります。

🛠️ ディレイラーハンガーが曲がると変速不良に

転倒や車載・輪行時の衝撃で、リアディレイラーハンガーが曲がってしまうことがあります。
ハンガーが曲がると、変速していなくてもチェーンがガチャガチャと浮いてしまったり、変速の調子が悪くなったり、チェーンが外れやすくなるなど、トラブルの原因になります。
違和感を感じたら、無理に乗り続けず早めに点検を!

🤍 困ったときは!

変速に違和感がある、異音がする、チェーンの動きが不自然...そんなときは、バイクプラス各店にぜひ点検にお持ち込みください。
当店へのお持ち込みが難しい場合は、信頼できるTREKコンセプトストア、正規販売店
へご相談ください。

9. まとめ:変速を味方に!

スポーツバイクにおいて変速機は、単なるスピードアップの道具ではありません。
体力を守り、安全に、楽しく走るための最強のパートナーです。

正しい変速操作を身につければ、

  • 無理な力を使わずに効率よく進める
  • 疲労を最小限に抑えて長距離を楽しめる
  • バイクを長持ちさせられる

ことができるようになります。

「重くなったら頑張って踏む」ではなく「重く感じたらギアを変える」。さらに、「変えたくなったら変える」ではなく「変えたくなる前に変える」

この感覚さえ身につければ、ライドは格段に快適に変わります!

これからのライドで意識したいこと

  • ペダルを軽くスムーズに回す感覚を意識する
  • 道路や地形の変化を先読みして早めに変速する
  • 焦らず、リズムよく回し続ける

最初はぎこちなくても大丈夫。
少しずつ変速のタイミングが体に染み込み、自然にできるようになります。

変速を味方につければ、自転車はもっと自由になる。
さあ、今日から変速を楽しんで、もっと遠くへ、もっと楽しく走り出しましょう!🚴♂️✨


所沢店の中の様子をガラス越しに撮影した写真

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